Sleep tight

ステエションズ vo,gt

2020.07.24

吉田一郎不可触世界を聴いている。レールの音にボーカルが掻き消されるけれど、音量は上げ過ぎちゃ駄目だって。銀色のネックレスがゆらゆら揺れていた。わたしでさえも知らなかったわたしを多分誰も知らない。珈琲が好きだったけれど今はそんなに飲みたくないように、冬のような春の夜に、上手くいかないことに囚われた焦燥から故意にページを閉じたように。知っている?布団に入った後、ものの数分で意識が途絶えるのは寝入っている訳ではなく気絶しているということ。アルコールは涙の代わりにはならないらしい。人にも代わりはいないのに、音楽には代わりがあるなんて悲しい。わたしの為の音楽が無かったくせしてひとの生活に介入したいだなんて烏滸がましい、と今は思える。わたしが貴方に発した言葉なんて唯の戯言だから気にしないでいい。わたしが貴方に意見することで勝手に気持ちよくなっているだけ、貴方にとっては耳触りの良い言葉だというだけ、かも知れない。無自覚に発せられた言葉を聞いて殺してやりたいと思った。同時に自己への期待や愛を自覚して、すこし安心した。わたしはわたしの世界のなかでわたしを生きている。わたしはわたしになりたい、貫通するくらいわたしになりたい。わたしの音楽を好きで居てくれているあなたの感性が素晴らしくて尊いなとおもう。唐突に思い出したので書いてしまった。毎度の事ながら今回も散文だ。

SCHOOLを聴きながら髪を梳いた。湿気に負けてすぐに広がってしまう。長い方が誤魔化しがきくけれど暫くは短いままがいい。何年ぶりかに見た虹にわたしと同じくらいにはしゃいでいた祖母を見て、いつまでもこう在りたいと思った。君がウイスキーを飲めないことを知っている。もしも話に意味がないことも、ひとの真意は測れないことも。雑誌の隅に乗っていた数百文字のエピソードを読む。綺麗に纏めたその文章は、運良くその世界線にいる奇跡のお陰で笑い話になっているんだ。短い睫毛を伏せる。千切れたイヤホンを拾い上げた。わたしはもっと君の話が聞きたい。