回送列車が止まっている。車庫への待機中なのだろう、うすい黄色のひかりがクリスマスシーズンの御堂筋に灯るイルミネーションのように続く。赤い目で見上げた空に明るい星が点々とひかっていた。動画を撮ろうとしたけれどiPhoneには写らない。福島で見た、目を見張るほどの星空を思い出す。子どもの頃にプラネタリウムでみた空よりはるかに明るくて繊細で、きれいだった。相手は絶対にそのつもりは無いのに、勝手に自分のすべてを否定された気になってしまう時がある。やさしさだと分かっていてもどうしてもそのやさしさを受け取れなくて落ち込んでしまうときがある。じぶんの全てが嫌になってしまうけれど、疲れた夜にこれ以上考えごとをするともっとだめになってしまうからとりあえず夕飯を食べて眠る。渦中にいる瞬間は永遠のように思うけれどすべてがいつかは過去になる。わたしにできることは丁寧に向き合ったりたまには逃げたりしながら、ゆっくりと終わらせていくことだけだ。目を逸らし過ぎても見つめすぎてもこころに靄がかかる。わたしだけではなく、誰もが。
一月末に簡単な引っ越しをした。花壇に椿がたくさん咲いている。これからひらく蕾のすがたも、花壇の下に落ちた花弁もうつくしかった。祖母が送って欲しいと言っていたことを思い出してLINEで送る。小さい段ボール数箱に入ったわたしの荷物をまだ電気すら取り付けていない部屋に運んだ。新しい家は陽のひかりがよく入るのでうれしい。マユカさん(歌う魚のブッカーさん)がくれた海月のサンキャッチャーをひかりに当てて、うまれた小さな虹と一緒にコーヒーを飲んだ。生活はあっけなく変わっていく。それはつめたいやさしさを孕んでいる。

