Sleep tight

ステエションズ vo,gt

2020.06.22

鳩の死骸を見た。思わず二度見してそれから目を伏せた。車から逃げ遅れたのだろうか、あまりまじまじと見てはいないけれど何だか泣きそうになった。死というものにひとは惹き付けられる。生きているにんげんは誰も体験したことが無いからなのか、単なる怖いもの見たさなのか。電車に乗って目的地に着いた頃には鳩のことなんて綺麗さっぱり忘れていた。わたしは驚くぐらい自然に、こんなにも冷徹で居られるのだ。鴉は死を予期すると山や森に身を隠す。力が尽きると枝から落ちてそのまま死んでしまうらしい。ぼんやりとした頭で死ぬときはひとりなんだなあ、と思う。だからうつくしいんだなあ、とも。いつかは死んでしまうのならやりたいことは全てやりたい。行きたいところに行って、食べたいものを食べ、一緒に居たいひとと時間を共にしたい。生き抜いたあとの走馬灯には何が映るんだろう。瞬間瞬間を楽しく在りたいと思う。その日の晩はそんなに食べなかった。バイトから帰ってきた弟に先に風呂を譲って、部屋でギターを弾いた。ききすぎたエアコンの温度を上げる。寝る支度をしながら甘いキャラメルの飲み物を飲む。失念していた譜面を書き終えてから、布団に潜って数分で意識が途絶えた。死ぬってこんな感じなんだろうか。