Sleep tight

ステエションズ vo,gt

2021.08.02

どうしても牛丼が食べたかった。牛丼並のチーズトッピングにAセット。仕事が終わる前から吉野家のことしか考えられなかった。夜の炭水化物のドカ食いはあまり良いとされないらしいので少し思いとどまったが、最近は筋トレも頑張っているしバチは当たらないはずだ。最寄り駅から爆速で吉野家に向かう。時刻は19時半だった。店内はちょっと怖そうなお兄さんや疲れた顔のおじさんが何人かいただけで空いてはいたが男性だらけの中にわたしひとりの空間が落ち着かず、なるべく隅の店員さんに近い席に座る。お冷を運んできてくれた店員さんはまだ業務に慣れていない様子で、一目で新人さんだと分かるくらいには緊張していた。ドレッシングの場所を他の店員さんに聞いていたので本当に最近入ったばかりなのだろう。わたしの後に立て続けに来店が続き、大量の持ち帰りを頼むおじさんが現れたくらいから新人さんの焦りがわたしにも伝わってきた。注文時にサラダのドレッシングの種類を聞かれて和風ドレッシング、と答えたが運ばれてきたトレーにはドレッシングが付いていなかった。余裕が無さそうな店員さんに声を掛けることがどうしても出来ず、野菜の甘みを存分に感じながらサラダを食べることになったが、サラダはドレッシングが無くても普通に美味しかった。強がりでは無い。そうしている間にも夫婦で来ていた子育てを終えた歳くらいの奥様がキツめのタメ口で注文ミスを指摘していたし、来店したことを気付かれなかったのであろう厳ついお兄さんは「お冷!!!!!聞こえてんのか!?!?」と叫んでいて、地獄のような空間が爆誕している。先輩バイトのお兄さんはテイクアウトの注文を捌くのに必死で新人さんへのフォローには回れなかったらしい。食べるのを辞めて手伝いましょうか?と言いたいくらいには不憫だった。次から次へと来店する客の中で店員さんに対して敬語を使う人間がわたし以外一人も居なかったことが衝撃過ぎて、牛丼の味は殆ど覚えていない。多分美味しかったと思う。食べるのが遅いせいでわたしが退店する頃にはさっきまでの客はほぼ全員居なかった。丁寧に会計をしてくれた新人さんにご馳走様でした、と言って店を出る。普通のことが普通にできるひとというのは案外少ないのかもしれない。